会長挨拶
初めまして、日本流通学会の第13期会長を拝命している北海道大学の坂爪と申します。
本学会は1987年11月に発足した学会です。当時、わが国経済は、アメリカとの激しい貿易摩擦をはじめ多くの困難と矛盾に直面しており、流通の問題領域も第1次産品、サービス、物流、国債流通などへ急速に多面化し、またその関連領域についてみても情報、金融、消費、政治などへ多岐にわたって相互関係を深刻化していました。こうした複雑化した流通問題を解明し、その行方を正しく洞察するため、狭い専門の垣にとらわれない学際的な学会として産声を上げました。
その後も国際情勢とそれに規定された流通問題も大きく変貌を遂げてきましたが、学際的研究の重要性はますます高まってきています。本学会では、マーケティング、卸・小売業、サービス業、ロジスティクス、農林水産物流通、消費・協同組合、流通政策、情報化など幅広い分野をカバーしつつ、それぞれについての批判的な分析と分野を超えた議論を行っています。
本学会のもうひとつの特長は部会活動です。北海道・東北、関東甲信越、中部、関西中四国、九州の5部会がそれぞれの地域に組織され、毎年比較的近距離の会員が集まって研究会を実施しています。比較的少人数で、専門分野、年齢、所属などが多彩な研究者がじっくりと議論し、交流する貴重な機会となっています。
今日、世界は新型コロナウイルスの問題に覆い尽くされており、流通部面でも実にさまざまな問題が生起し、私達の生活全般に影響を与えています。本学会でも、会員個々人による研究と研究大会、各部会などを利用した学際的な研究を活発に展開し、理論、実証の両面から現実世界に貢献していきたいと考えております。流通問題に関心のあるみなさん、一緒に研究し、議論いたしましょう。
日本流通学会 
会長 坂爪 浩史(北海道大学)