本書は, 米国における子供向けマーケティングの成立と展開、子供向けマーケティングが抱える課題とマーケティングの変化を米国の食品・飲料企業のマーケティング事例に即して、理論と実践の両面からの解明を目指した業績である。
子供の消費と子供に対するマーケティングが内包する課題を明らかにするために、米国や国際的な動向について多数の資料に基づき整理し、子供向けマーケティングの方向性を示すことを試みている。流通・マーケティングについて社会的視点で考察する姿勢は、今後の学会の一つの方向性を示したものとして高く評価できる。
ただ,本書は、1本の著作としての完成度が十分ではない点や、既存のマーケティング理論との関係性が明確ではない点など、今後さらに発展する余地を残した作品である。以上のことから,今後の研究のさらなる発展を期待して,第22回日本流通学会・奨励賞を授与することとした。
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